Adobe Analytics重要用語100選（GA4経験者向け）

画面操作に関する用語

Analysis Workspace（分析ワークスペース）
GA4の「探索（Explore）」に相当する、Adobe Analyticsの主要な分析UIです。ブラウザー上で堅牢なカスタム分析プロジェクトを構築でき、ドラッグ＆ドロップで自由にレポートを作成しますexperienceleague.adobe.com。標準レポート画面が存在しない代わりに、このWorkspace上でパネルやビジュアライゼーションを追加して分析を行います。テンプレートから雛形プロジェクトを作成することもでき、GA4に比べ高度なカスタム分析が可能ですexperienceleague.adobe.com。

プロジェクト（Project）
Analysis Workspace上で保存・共有できる分析レポートの単位です。複数のパネルや可視化をまとめたワークブックのようなもので、1プロジェクト内に様々な分析ビューを含められます。GA4の「探索レポート」に近い概念で、分析内容ごとにプロジェクトを作成し保存します。プロジェクトは他ユーザーと共有したり、スケジュール配信することも可能です。

パネル（Panel）
Workspaceプロジェクト内の区画で、特定の分析ビューを構成するコンテナです。1つのプロジェクトに複数のパネルを挿入でき、パネルごとに異なる分析テーマ（例：トレンド分析パネル、フロー分析パネル等）を設定できます。GA4の探索で複数タブを作成するような感覚で、Adobeでは1画面内に縦にパネルを積み重ねて配置します。パネルにはセグメントや日付範囲を個別に適用することもでき、分析の単位として使われます。

フリーフォームテーブル（Freeform Table）
Analysis Workspaceの基本となる自由形式のデータテーブルです。ディメンション（行）と指標（列）を組み合わせてドラッグ＆ドロップで作成でき、フィルターやブレークダウンによる柔軟な分析が可能ですexperienceleague.adobe.com。GA4の探索における自由形式タブルと類似しており、行数・列数を自在に拡張して深掘り分析できます。各コンポーネントを配置すると即座にデータが更新され、インタラクティブに分析を進められる点が特徴ですexperienceleague.adobe.com。

ビジュアライゼーション（Visualization）
Analysis Workspace上で利用できるグラフやチャート類の総称です。折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフ、ヒートマップ、散布図、フロー図、フォールアウト図など多彩なビジュアライゼーションをパネルに追加できます。GA4の探索でも基本的な可視化は可能ですが、Adobeの方が種類やカスタマイズ性が豊富です。数値を強調表示する「サマリーナンバー」や曜日×時間のヒートマップなど、分析目的に応じて視覚的にデータを表現できます。

コンポーネント（Components）
Analysis Workspaceの左サイドバーに表示される分析要素の総称で、ディメンション、指標、セグメント、日付範囲、計算指標、アラート等が含まれますexperienceleague.adobe.com。これらコンポーネントをWorkspace上のテーブルやグラフにドラッグ＆ドロップしてレポートを構成します。GA4のディメンションや指標と概念は同じですが、Adobeではコンポーネントパネルで自由に組み合わせて分析できる点が特徴です。コンポーネントはユーザーが追加・保存でき、再利用や共有も可能ですexperienceleague.adobe.com。

日付範囲（Date Range）
Workspaceで使用するデータの期間を指定するコンポーネントです。GA4と同様、カレンダーから期間を選択できますが、Adobeでは「過去7日間」「前年同期」などカスタム日付範囲を定義してコンポーネントとして保存できます。保存した日付範囲は複数プロジェクトで再利用可能で、複雑な期間比較も簡単に行えます。また、日付範囲はパネル単位や全体に適用でき、GA4に比べ柔軟な期間設定が可能ですexperienceleague.adobe.com。

Activity Map（アクティビティマップ）
ページ上のクリックアクティビティを可視化するためのAdobe提供のブラウザプラグイン（拡張機能）です。サイト内でどのリンクが多くクリックされたかをページ上にオーバーレイ表示できますexperienceleague.adobe.com。GAの「ページ内分析」に相当しますが、現在のAdobe AnalyticsではこのActivity Map拡張機能を利用してページ上のヒートマップ分析を行います。サイト改善のUI/UX分析に役立ちますが、利用には別途プラグインのインストールが必要です。

テンプレート（Template）
Analysis Workspaceで提供されるレポートひな型です。新規プロジェクト作成時に、空白のブランク、フリーフォーム分析、アトリビューション分析、セグメント比較、コホート分析などのテンプレートを選択できます。テンプレートにはあらかじめパネル構成や指標セットが用意されており、初心者でも素早く分析を開始可能です。GA4にも標準レポートテンプレートはありますが、Adobeではテンプレートをベースに自由にカスタマイズして深掘りできる点が特徴です。

セグメントビルダー（Segment Builder）
セグメントを作成・編集するための専用UIです。Analysis Workspaceの「コンポーネント」→「セグメント」から新規作成するとセグメントビルダー画面が開き、フィルタ条件を設定できます。GA4の比較用フィルタやオーディエンス定義画面に相当し、訪問者ベース・訪問ベース・ヒットベースの各条件やシーケンスの定義が可能です。作成したセグメントは組織内で共有・再利用でき、ビルダー上でプレビューして結果を確認しながら調整できます。

指標に関する用語

指標（Metric）
レポートで数値として集計されるデータのことです。ページビュー数、訪問数、売上額などの定量データを指標と呼び、ディメンション（質的な分類）と組み合わせて分析しますexperienceleague.adobe.com。GA4の指標概念と同様ですが、Adobeでは独自のカスタム指標（成功イベント）を自由に実装でき、さらに既存指標を組み合わせた計算指標の作成も可能ですa2guide.jp。Workspace上では指標コンポーネントとしてドラッグ＆ドロップで利用し、データを数値で評価します。

ページビュー（Page View）
ページの表示回数を表す指標です。GA4では「page_view」イベントとして計測されますが、Adobe Analyticsではページ読み込み時に送信されるページ表示ヒットによってページビュー数が計上されますa2guide.jp。1ユーザーが複数ページ閲覧すればページビューはその数だけ増加します。分析では主にサイト全体のPVや人気ページのランキングに使用し、GA4同様に基本的なトラフィック指標の一つですa2guide.jp。

訪問（Visit）
一定の間隔内におけるユーザーのサイト訪問のまとまり（セッション）を表す指標です。基本的な定義はGA4のセッションと同じで、30分間の非活動で一区切りとなりますa2guide.jp。Adobeでは1回の訪問中に複数ページやイベントのヒットを含み、30分以上操作がないと自動的に訪問が終了します。なお12時間連続活動やヒット数上限超過でも訪問が切れる点がGA4と異なる部分ですa2guide.jp。レポートでは「訪問数」としてセッション数の分析に使われます。

ユニーク訪問者（Unique Visitor）
期間内にサイトを訪れた一意のユーザー数を示す指標です。GA4のユーザー数に相当し、AdobeではクッキーIDやログインIDで重複排除した訪問者数として計測しますa2guide.jp。同一ユーザーの複数回訪問でもカウントは一人にまとめられますexperienceleague.adobe.com。標準ではブラウザ単位のクッキーで算出するため、GA4のユーザー数と大きく乖離しないものの、デバイス間統合はされません。レポートでは日別・月別のユニーク訪問者推移などに用いられ、延べ数ではなく純粋な利用者数を把握するのに適しますa2guide.jp。

新規訪問者（New Visitor）
初めてサイトを訪問したユーザー数を表す指標です。GAの新規ユーザー数に近い概念で、Adobeでは「訪問回数=1」の訪問者数として計測されます。初回訪問時にクッキーが設定されることで識別し、集計期間中にそのユーザーが初めて出現した回数をカウントします。新規訪問者とリピート訪問者の比率を分析することで、サイトの新規顧客獲得状況を評価できます。ただし複数デバイスでは別ユーザー扱いになる点に注意が必要です。

リピート訪問者（Return Visitor）
過去に訪問経験があり、再度訪問したユーザー数を表す指標です。新規訪問者ではない訪問者数として計算され、クッキーやログインIDで識別されます。GAで言うリピーター（リターンユーザー）に相当します。Adobeでは訪問回数が2回以上のユニーク訪問者数として算出でき、サイトのリピート率や定着度を測るのに使います。新規/リピートのセグメント分析により、ユーザー層の違いや行動傾向を比較することが可能です。

入口（Entry）
訪問の開始数を表す指標です。ユーザーがサイトに最初にアクセスした回数をカウントします。GAの「セッション開始」に近く、Adobeでは各訪問における最初のページビューが発生した時に入口が1増えます。特定ページについて見ると、そのページがランディングページとなった訪問の数を意味します。入口ページレポートでは流入経路の分析に使われ、マーケティングチャネルごとの訪問数とも関連します。

退出（Exit）
訪問の終了回数を表す指標です。ユーザーがサイトから離脱した回数であり、各訪問の最後のヒット時に退出が1カウントされます。GAの「Exit」に相当し、Adobeでは特定ページが出口ページとなった訪問数として計測できます。退出数の多いページはユーザーが離脱しやすいページとみなされ、改善の手がかりとなります。なお、退出率は「そのページから退出した割合」として計算指標で求めることができます。

バウンス（Bounce）
単一のヒットで終わった訪問、いわゆる直帰を表す指標ですexperienceleague.adobe.com。1ページだけ見て離脱したセッションが該当し、Adobeでは訪問中に1ヒット（ページビュー1件）のみで終わった場合にバウンスとしてカウントされますexperienceleague.adobe.com。GA4でも直帰（直帰率）概念はありますが、Adobeではデフォルトでバウンス指標が用意されており、直帰セッション数や率を分析できます。単一アクセスとの違いに注意が必要ですが、基本的には直帰セッションを示す点で共通しています。

直帰率（Bounce Rate）
直帰した訪問の割合を示す指標です。Adobe Analyticsではバウンス（直帰セッション）の数を訪問数で割ることで計算できます（標準搭載はされていないため計算指標として作成）。GA4ではエンゲージメント時間が短いセッションを直帰扱いする仕様変更がありましたが、Adobeでの直帰率は従来型（1ヒット訪問の割合）となります。一般的に直帰率が高いページはコンテンツの関連性や導線に課題があると判断され、Web改善の指標として用いられます。

単一アクセス（Single Access）
訪問中に一つのページ（または値）しか閲覧されなかったケースを表す指標です。直帰（バウンス）はヒット数1の訪問ですが、単一アクセスは「特定のディメンション値が1つだけ発生した訪問」を指し、複数ヒットでも同じページのみ閲覧して終了した場合なども含みますexperienceleague.adobe.com。例えば1訪問内で同じページをリロードした場合、ヒットは複数でもページ名は1種類のため単一アクセスになります。Adobeではバウンスとの微妙な違いがありますが、ほぼ直帰に近い概念として認識されます。

成功イベント（Success Event）
Adobe Analyticsで計測するカスタムの成果指標を指します。GA4のイベントにおけるコンバージョンに相当し、サイト上の任意のアクション（購入完了やフォーム送信など）を開発者が定義して送信しますa2guide.jp。送信されたイベントは「成功イベント」としてレポートに計上され、例えば購入数やフォーム送信数といった指標として利用できます。GA4では全てイベントとして計測しますが、Adobeではページビューとは別に特定の成果を成功イベントとしてカウントする設計ですa2guide.jp。

コンバージョン率（Conversion Rate）
コンバージョン（目標達成）の割合を示す指標です。例えば「購入コンバージョン率」であれば購入件数を訪問数で割った値として計算します。Adobeではコンバージョン率はデフォルト指標には含まれませんが、計算指標として任意の成功イベントと母数を使って算出できます。GA4でも類似の指標はカスタム計算が必要な場合があります。一般にCVRとも呼ばれ、サイトの効果測定や施策評価に欠かせないKPIとなります。

売上（Revenue）
Eコマースサイトで発生した売上金額を示す指標です。Adobeでは購入完了時に売上額をイベント変数として送信し、レポート上で合計売上として集計します。GA4の収益（Purchase Revenue）に相当します。売上指標は通貨額で計測され、注文数や平均注文額と併せてECサイトのパフォーマンスを評価する基本指標です。Adobe Analyticsでは複数通貨のトラッキングや税・送料の別管理も可能で、必要に応じてレポートスイート設定で通貨換算されます。

注文数（Orders）
購入完了の件数を表す指標です。1回のトランザクション（注文）発生ごとに1カウントされます。Adobeでは購入完了イベントを送信する際に自動で注文数が計上され、GA4の購入イベント件数に相当します。売上と並ぶECサイトの主要KPIで、サイト全体の注文件数や平均注文単価（売上/注文数）などの算出に用いられます。注文数からコンバージョン率（注文数/訪問数）を計算することで、訪問あたりの成約率を分析することも可能です。

平均注文額（Average Order Value）
1件あたりの平均売上額を示す指標です。Adobeでは「売上/注文数」で計算でき、一般にAOV（平均購買単価）とも呼ばれます。GAでも同様に売上を注文数で割ることで求められます。平均注文額は客単価とも言え、単価向上施策の効果測定に使われます。Adobe Analyticsでは計算指標として簡単に算出可能で、セグメント別（例：新規 vs リピート訪問者）のAOV比較や月次推移を分析することで、売上の質的な変化を捉えることができます。

クリック率（CTR：Click-Through Rate）
広告やリンクがクリックされた割合を示す指標です。例えば広告のインプレッション（表示）に対するクリック数の比率として算出され、%で表します。Adobe Analytics単体ではインプレッション計測は別途データ統合が必要ですが、メール配信やAdobe Advertisingなど他ツールと連携してCTRをレポートすることも可能ですexperienceleague.adobe.com。GA4ではGoogle広告との連携でCTRが自動計測されますが、Adobeでは**広告費用連携（Advertising Analytics）**によりCTRやCPAなどを取り込んで分析できます。

インスタンス（Instances）
特定の変数が設定された回数を表す指標です。ディメンション値が発生したヒット数とも言えます。AdobeではeVarなどのコンバージョン変数に値が設定された回数をカウントする用途で使われ、GA4で言うイベント発生数に近い概念です。例えばサイト内検索キーワード（eVar）において、各キーワードが検索実行時に何回設定されたかを示すのにインスタンス指標を用いますleadplus.co.jpleadplus.co.jp。通常のページビューや訪問では適切に測れない「その値の発生回数」を把握する重要な指標です。

発生件数（Occurrences）
ディメンション値が保持（持続）されたヒットも含めて発生した総件数を表す指標ですexperienceleague.adobe.com。インスタンスが値設定時のみのカウントであるのに対し、発生件数は前後のヒットで値が持続した場合も含めカウントされます。例えばeVarが訪問中持続する設定の場合、その値で発生したすべてのヒット数が発生件数となります。GA4には明示的な同等指標はありませんが、Adobeではレポートで該当値に関連する全ヒット数を見る際に発生件数を使いますexperienceleague.adobe.com。

平均訪問時間（Average Time Spent per Visit）
1訪問あたりの平均滞在時間を示す指標です。Adobeでは各訪問の滞在秒数を計測し、その平均を計算指標として求めることで算出します。GA4の平均エンゲージメント時間に近い概念ですが、Adobeでは従来型の滞在時間（次のヒットまでの差分時間）に基づきます。訪問時間は最後のヒットでは計測されないなど注意点がありますが、全体の傾向としてサイトの引きつけ度合いを把握できます。セグメント別に平均訪問時間を比較すれば、ユーザー層ごとのエンゲージメント度合いを分析可能です。

訪問あたりページ数（Pages per Visit）
1訪問で閲覧された平均ページ数を示す指標です。GAで言うページ/セッションに該当し、Adobeではページビュー数を訪問数で割ることで算出できます。サイト全体の回遊性を測る指標で、この値が高いほどユーザーが多くのページを閲覧していることを意味します。平均ページ数はサイト種別によって適正値が異なりますが、急な低下はUI上の問題やコンテンツ不足を示唆する可能性があります。Adobeでは任意の計算指標として簡単に作成し、トレンドを監視できます。

退出率（Exit Rate）
各ページからの退出割合を示す指標です。ページ別の退出数をそのページのページビュー数で割って算出します。GAのExit Rateと同様で、Adobeでは標準搭載されていないため計算指標として求めます。退出率が高いページはユーザーがそのページで離脱しやすいことを意味し、直帰率と合わせて閲覧終了ポイントの分析に用います。特にサイトの途中離脱が問題視される場合、該当ページのコンテンツ改善やリンク導線の見直し検討が必要となります。

セグメント・ディメンション関連の用語

セグメント（Segment）
GA4の「比較」や「オーディエンス」に相当する、データの特定部分へのフィルターです。Adobe Analyticsでは任意の条件でユーザーやヒットを絞り込むセグメントを作成でき、レポートにドラッグ＆ドロップして適用します。例えば「モバイル訪問者」「直帰セッション」などをセグメント化し、関連するデータのみを分析可能ですexperienceleague.adobe.com。左サイドバーのセグメント作成画面で条件設定・保存し、他のプロジェクトでも再利用できます。複数セグメントの比較や重ね掛けも可能で、GA4に比べ柔軟なデータ絞り込みを実現します。

セグメントコンテナ（Segment Container）
セグメント定義時に選択するデータ抽出の範囲（スコープ）です。Adobeでは「ヒット」「訪問」「訪問者」の3種類のコンテナがありますexperienceleague.adobe.comexperienceleague.adobe.com。ヒットコンテナは個々のヒット単位、訪問コンテナは一連の訪問全体、訪問者コンテナはユーザー全期間で条件を適用します。GA4のイベントスコープ、セッションスコープ、ユーザースコープに対応する概念です。セグメント定義時に適切なコンテナを選ぶことで、「○○した訪問者」「○○が含まれる訪問」など柔軟な条件設定が可能となります。

シーケンスセグメント（Sequence Segment）
一連のユーザー行動の順序を指定して絞り込むセグメントです。Adobeではセグメントビルダーで「シーケンス」を有効にし、「Aの後にBを実行したユーザー」のような順序条件を定義できます。GA4のシーケンスフィルタ（順序フィルタ）に相当します。例えば「商品閲覧→カート追加→購入」の順で操作した訪問などを抽出可能で、コンバージョンファネルの離脱分析などに役立ちます。シーケンス内ステップ間に他の行動を許可する/しない等の細かなオプションも設定できます。

ディメンション（Dimension）
性質や属性によって分類したデータ項目です。ユーザーの性別、訪問日時、参照元ドメイン、ページ名など、数値以外の値やカテゴリ情報がディメンションに該当しますexperienceleague.adobe.com。GA4と同様、指標と組み合わせて分析する軸として機能し、Adobeではカスタムディメンションも自由に定義可能です。Adobe固有の用語として、**トラフィック変数（prop）やコンバージョン変数（eVar）**はカスタムディメンションを意味します。レポートでは各ディメンション値（項目）ごとの指標集計結果が表示されます。

eVar（コンバージョン変数）
ユーザーが定義できるカスタムのコンバージョン用ディメンションです。GA4のカスタムディメンション（イベントスコープやユーザースコープ）に近く、サイト上の様々な属性を格納できます。eVarは一度値が設定されると有効期限が来るまで保持され、後から発生した成功イベントに紐付けて成果計測することが可能ですexperienceleague.adobe.com。例えば「流入キャンペーンeVar」を訪問期間保持に設定すれば、その訪問中の購入件数にキャンペーンを帰属させられます。GA4のパラメータより厳密な保持設定ができ、コンバージョン分析において強力な変数です。

prop（プロップ、トラフィック変数）
eVarとは別に提供されるカスタムのトラフィック用ディメンションです。基本的にはページビューなどヒット単位で値が記録され、保持は次のヒットまで（ヒットスコープ）となりますexperienceleague.adobe.comexperienceleague.adobe.com。例えば「ページカテゴリ」をpropで実装すると、そのページでのみ値が反映されます。GA4のイベントスコープのカスタムディメンションに似ています。以前のAdobeではprop特有のパス分析機能がありましたが、現在はeVarでほとんど代用可能ですexperienceleague.adobe.com。それでも一時的な計測にpropを用いるケースもあります。

リスト変数（List Variable）
1つのヒットで複数の値を同時に保持できる特殊なカスタム変数です。propやeVarが単一値しか保持しないのに対し、リスト変数はカンマ区切り等で複数値を送信し、それぞれを個別のディメンション値としてカウントできます。GA4ではイベントパラメータに配列を渡す手段は限定的ですが、Adobeではこのリスト var（リストプロップ/リストeVar）設定により、例えば1ページに複数カテゴリが属する場合などに利用可能ですexperienceleague.adobe.com。1組織あたり3つまで定義でき、複数属性の同時計測に便利です。

分類（Classification）
ディメンション項目を**グループ化（再分類）**するAdobe Analyticsの機能です。例えば「ページ名」を「カテゴリ」にまとめ直す、特定のキャンペーンコードをキャンペーン名や媒体に紐付ける、といったマスタ情報をアップロードして集計することができますexperienceleague.adobe.com。GA4のコンテンツグループやチャネルグループに近い概念ですが、Adobeでは任意のディメンションに対して独自の分類項目を追加可能です。分類データはレポート上で元の値と同様に利用でき、メニューから分類ビューを切り替えて分析しますexperienceleague.adobe.com。

マーケティングチャネル（Marketing Channel）
訪問者がサイトにどうやって流入したかを分類するための組み込みディメンションです。デフォルトではNatural SearchやDirect、Referralなど主要チャネルが定義され、参照URLやキャンペーンコード等の条件で各訪問のチャネルを判定しますexperienceleague.adobe.com。GA4のデフォルトチャネルグループに相当しますが、Adobeではマーケティングチャネル処理ルールにより独自の定義や順序変更が可能ですexperienceleague.adobe.com。レポートでは初回/最後の接触チャネル別の訪問数・売上などを分析でき、マーケ施策の評価に用いられます。

サイトセクション（Site Section）
サイト内のページを論理的なカテゴリに分類するためのディメンションです。通常はサイトの構造に合わせて主要カテゴリを定義し、各ページにどのセクションかを設定して計測します。GA4で言うコンテンツグループに近く、Adobeでは既定のチャネル変数（prop）として「サイトセクション」を利用するケースが一般的ですexperienceleague.adobe.com。サイトセクションレポートでは、各セクションごとのPVや訪問数、コンバージョンを集計でき、サイトのどの領域がよく見られているかを分析できます。

キャンペーン（Campaign）
広告やマーケティングキャンペーンの識別子を格納するための変数です。Adobeでは一般にeVarの1つをキャンペーン変数（トラッキングコード）として使用し、流入元のキャンペーンID（例えばUTMの値）を取り込んで計測しますexperienceleague.adobe.com。GAの「キャンペーン」ディメンションに相当しますが、AdobeではこのキャンペーンIDごとにカスタムの分類を設定し、チャネルや施策名などに分類できますexperienceleague.adobe.com。キャンペーンレポートでは各キャンペーン経由の訪問数・売上など効果測定が可能です。

ページ名（Page Name）
各ページに付与された名前（タイトル）のディメンションです。Adobeではページビュー時に送信されるpageName変数の値が「ページ名」としてレポートに表示されます。GA4ではページのタイトルやURLが同等ですが、Adobeは実装時に任意の論理名を設定できるため、「商品詳細：<商品名>」のようにわかりやすい名前でデータを蓄積できます。ページレポートではこのページ名ごとのPV、訪問、指標が一覧化され、サイト内の人気ページや各ページの指標を分析します。なお、pageNameが未設定の場合はURLが代わりに使用されます。

入口ページ（Entry Page）
訪問が開始したページを示すディメンションです。各訪問で最初に閲覧されたページ名が「入口ページ」として記録されます。GAのランディングページに相当し、Adobeでは全訪問のうち特定のページから始まった割合や傾向を分析できます。入口ページレポートは流入経路やコンテンツの入口を把握するのに使われ、マーケティングチャネルと組み合わせて「検索流入の入口ページTOP10」といった分析が可能です。直帰率と合わせて見ることで、そのページの初回訪問時のパフォーマンス評価にも役立ちます。

終了ページ（Exit Page）
訪問が終了したページを示すディメンションです。各訪問で最後に閲覧されたページ名が「終了ページ（出口ページ）」として記録されます。GAのExit Pageと同様で、Adobeではどのページでサイト離脱が発生したかを把握できます。終了ページレポートでは頻出する終了ページ（サイト離脱ページ）が判明し、そのページでユーザーが目的を果たせず離れていないかなどの考察に用いられます。特定のページが終了ページとして多い場合、関連ページへのリンク設置など回遊性向上の対策検討に繋げられます。

その他（Low Traffic）
Adobeレポート上で表示される「その他」とは、あるディメンションでユニーク値の件数が多すぎる際に低頻度の項目をまとめてグループ化したものです。Adobe Analyticsではレポートスイートごとに1つのディメンションで保持できるユニーク値の上限が存在し、これを超えると残りが「Low Traffic（その他）」にバケットされます。GA4では高カードinalityにも比較的強いですが、Adobeでは非常に多様な値（例：ユーザーIDやURLパラメータなど）が飛んでくるとこの制限にかかる場合があります。必要に応じて分類や追加設定でこの影響を緩和できます。

アロケーション（Allocation）
コンバージョンに対するクレジットの割り当て方法を示す用語です。AdobeのeVarには「最後の値を保持（ラストタッチ）」「最初の値を保持（ファーストタッチ）」といったアロケーション設定があります。例えば流入キャンペーンeVarで「最後の値」を保持すると、訪問中複数キャンペーンがあってもコンバージョン発生時の最後のキャンペーンに成果が帰属します。GA4ではコンバージョン経路レポートで類似の概念を扱えますが、Adobeでは変数ごとに最初/最後の割当を選択してデータ収集時に制御できます。

パーティシペーション（Participation）
成果貢献度を評価する参加クレジットの指標です。Adobe独自の機能で、訪問中に発生した成果（例：売上金額）をそれ以前に閲覧されたページやクリックした要素など任意のディメンションの各値に等分配してクレジットを割り振る仕組みですa2guide.jp。例えば1訪問で商品Aと商品Bを閲覧し購入に至った場合、両ページに売上額が参加クレジットとして付与されます。GA4には標準搭載されないAdobe特有の分析手法で、コンバージョンに至る経路上の全要素の貢献を評価できます。

有効期限（Expiration）
コンバージョン変数（eVar）の値保持期間を指す設定です。eVarは設定された値を一定期間持続しますが、その期間やタイミングを細かく指定できます。例えば「訪問単位」なら訪問終了まで、「購入まで」なら購入イベント発生時に期限切れ、といった具合ですexperienceleague.adobe.com。GA4のユーザースコープに近い考え方ですが、Adobeの方が多彩なオプションを提供しています。適切な有効期限設定により、「初回流入キャンペーンで購入が発生するまで保持する」等、計測したいコンバージョン経路に沿ったデータ保持が可能です。

永続性（Persistence）
コンバージョン変数（eVar）の値がバックエンドで保持され続ける特性を指す概念です。設定されたeVar値は有効期限を迎えるまで後続のヒットにも永続的に適用されますexperienceleague.adobe.com。これにより、後になって発生した成功イベントにも過去の値を関連付けて成果分析ができます。GA4ではイベント発生時にその都度パラメータを付与する必要がありますが、AdobeではeVarの永続性のおかげで「後から来たイベントを事前の変数値に関連付ける」ことが可能ですexperienceleague.adobe.com。なお、不要に永続させるとデータが汚染される恐れもあるため、適切な期限設定が重要です。

レポート作成・分析に関する用語

レポートスイート（Report Suite）
Adobe Analyticsにおけるデータの収集単位（プロパティ）です。GA4のプロパティに相当し、トラッキングコード（AppMeasurement）から送信されたヒットデータは指定されたレポートスイートに格納されます。レポートスイートはサイトやアプリごと、ドメインごとなど任意の粒度で設計でき、Adobeの全レポートは必ず1つのレポートスイートを参照して動作しますexperienceleague.adobe.com。分析開始前に該当データのレポートスイートを選択する必要があり、GA4のデータストリームに近いですがAdobeの方が柔軟に設計可能です。

仮想レポートスイート（Virtual Report Suite）
親レポートスイートのデータにフィルターをかけ、部分集合ビューを提供する仮想的なデータコンテナです。GA4の「データビュー」に近い概念ですが、Adobeでは1つのデータセット（レポートスイート）から条件で絞り込んだ複数の仮想スイートを作成できますexperienceleague.adobe.com。例えば全サイトのレポートスイートから日本サイト分のみ抽出した仮想スイートを用意する、といった使い方が可能です。仮想レポートスイート自体にデータを送信する必要はなく、元データを参照してリアルタイムにフィルター表示しますexperienceleague.adobe.com。ユーザー権限で閲覧範囲を制限する用途にも便利です。

計算指標（Calculated Metric）
既存の指標同士を組み合わせ、計算式で作成したカスタム指標です。AdobeではUI上で四則演算や統計関数を用いて新しい指標を定義でき、例として「直帰率＝バウンス/訪問」や「商品閲覧あたり購入率＝注文数/製品閲覧数」等を作成可能ですexperienceleague.adobe.com。GA4では探索に限定的なカスタム指標計算機能がありますが、Adobeの計算指標は全レポートで利用できますa2guide.jp。ドラッグ操作で指標と演算子を組み合わせて定義し、組織内で共有も可能です。KPIの算出や複合指標のモニタリングに欠かせない機能です。

ブレークダウン（Breakdown）
1つのディメンションをさらに別のディメンションで明細化する操作です。Analysis Workspaceでは、例えば「流入チャネル」の各値を「デバイス種類」でブレークダウンすることで、チャネル×デバイスの二次元分析ができます。GA4のピボットテーブルや二次ディメンション表示に相当しますが、Adobeでは任意の深さまで階層ブレークダウン可能でドリルダウン分析がしやすい特徴があります。ディメンションの行を右クリックして別ディメンションでブレークダウンすると、その場でツリー状に詳細が展開され、データの細部まで掘り下げられます。

アトリビューション（Attribution）
成果（コンバージョン）に対してどの流入源や接点が貢献したかを割り当てる分析です。Adobe AnalyticsではAnalysis Workspace上でAttribution IQ機能を使い、様々なアトリビューションモデルでコンバージョン貢献を比較できます。例えば「ラストタッチ vs ファーストタッチ」「線形配分」「減衰モデル」などを適用し、売上や目標達成を各チャネルやキャンペーンへ按分して評価できます。GA4にもデフォルトのデータドリブンアトリビューションがありますが、Adobeではレポート内で複数モデルを並べて分析するなど、柔軟なアトリビューション比較が可能です。

コホート分析（Cohort Analysis）
共通の特性を持つユーザーグループ（コホート）の指標推移を分析する手法です。Adobeではコホート分析用のパネルテンプレートが用意されており、たとえば「初回購入月ごとの翌月以降のリピート率」のような分析が可能です。GA4にもコホート分析機能はありますが、Adobeでは任意の条件でコホートを定義し、継続率や離脱率を表形式で表示できますexperienceleague.adobe.com。特定期間に行動したユーザーが、その後どのくらいサイトに戻ってきたか（または継続利用したか）を可視化することで、ユーザー維持施策の効果検証に役立ちます。

フォールアウト（Fallout）
ユーザーが一連のステップをどこで離脱したかを分析する可視化レポートです。Adobeではフォールアウトビジュアライゼーションを用いて、ファネル（漏斗）状にステップ間の通過率を表示します。GA4の転換（funnel）レポートに相当し、任意のページやイベントをステップに設定可能です。例えば「商品閲覧→カート追加→購入完了」のフォールアウトを作成すると、各段階で何％が離脱したか一目でわかります。ステップは最大10個まで指定でき、セグメントを適用して特定ユーザー層のファネル分析も可能です。

フロー分析（Flow Analysis）
ユーザーの遷移経路を可視化するレポートです。Adobeのフロービジュアライゼーションでは、ある起点からユーザーが次にどのページやイベントに進んだか、あるいは前にどこから来たかを枝分かれ図で表示しますexperienceleague.adobe.com。GA4のパス分析に相当し、入口ページからのサイト内動線や、特定ページを経由した後の遷移を分析できます。Adobeではページだけでなく任意のディメンション値（例：キャンペーン名やセクション）をノードに設定可能で、様々な切り口でユーザーフローを把握できます。直感的なビジュアルで離脱ポイントや循環パターンの発見に有用です。

セグメント比較（Segment Comparison）
2つのセグメントを統計的に比較するAnalysis Workspaceの機能です。Segment IQとも呼ばれ、選択した2セグメント間で顕著な差異がある指標やディメンションを自動検出して可視化しますexperienceleague.adobe.com。結果はVenn図でセグメント重複を表示し、差異の大きい項目がハイライトされます。GA4には類似機能が限定的ですが、Adobeでは例えば「購入者 vs 非購入者」でサイト行動の違いを抽出するといった高度な分析がワンクリックで可能です。マーケ施策の対象セグメント選定や仮説発見に役立ちます。

異常値検出（Anomaly Detection）
統計モデルを用いて予期しないデータの変動を自動検出する機能です。時系列データを分析し、予測範囲から外れた急激な増減を異常値としてマーキングしますexperienceleague.adobe.com。Adobe Senseiの機能で、Analysis Workspaceの時間軸グラフにおいて指標の上限・下限予測レンジと実測値を比較する形で表示されます。GA4にもアラート機能はありますが、Adobeでは異常値の寄与分析（後述）と組み合わせ、データ異常の要因究明までサポートします。突然のトラフィック変動や不具合検知に重宝する機能です。

寄与分析（Contribution Analysis）
検出された異常値に対して、その要因となったディメンションや要素を特定する分析です。Adobeでは異常値検出と組み合わせてContribution Analysisを実行でき、異常な増減に寄与した上位要因（例：特定のキャンペーンやページ）が自動でリストアップされます。GA4には搭載されていないAdobe特有のAI分析機能です。異常値に関連する要素を迅速に把握できるため、例えば「急激なPV増加は特定のSNS流入が原因」などデータ変動の背景調査に役立ちます。マーケティングでは予期せぬ成果や急落の原因解明に威力を発揮します。

アラート（Alert）
指定した指標が条件を満たした際に通知を行う機能です。Adobe Analyticsでは閾値アラートを設定しておくと、例：「日別PVが前週比○％以上減少した」場合にメールで通知を受け取ることができます。GA4にもアラート（インサイト）機能は存在しますが、Adobeではユーザーが細かな条件でスケジュール監視できますsolutions.hakuhodody-one.co.jp。Analysis Workspace上ではコンポーネントとしてアラートを作成し、組織内で共有管理も可能です。異常検知やKPI逸脱の早期発見に用いられ、常時サイトをモニタリングするのに役立ちます。

データウェアハウス（Data Warehouse）
Adobe Analyticsのエクスポート機能の1つで、大容量データの抽出に特化したツールです。UI上からカスタムレポートをリクエストし、結果をCSVなどで受け取れますexperienceleague.adobe.com。GA4のBigQueryエクスポートに近い用途ですが、SQL知識不要でAdobeサーバー上の生データを集計抽出できる点が利点です。サンプルに制限されない全件データを扱えるため、Workspaceで取得困難な何百万行規模のデータも取得可能です。定期配信もでき、社内BIツールとの連携や詳細分析に重宝します。

Report Builder（レポートビルダー）
Adobe AnalyticsのExcelアドインで、スプレッドシートから直接Analyticsデータを取得できるツールですexperienceleague.adobe.com。GAのスプレッドシートアドオンに類似しており、Excel上でクエリを設定するとリアルタイムにAdobeデータを呼び出せます。複数の指標やセグメントを駆使したレポートをExcel上で自動更新する用途に適しており、定型レポートの自動化に用いられます。Report BuilderはAdobe AnalyticsのUIに縛られず自由なレイアウトでレポートを作成できるため、社内共有資料の作成などに人気のツールです。

リアルタイムレポート（Real-Time Report）
ほぼリアルタイムに収集したデータを表示する専用レポートです。Adobeでは標準レポートとしてリアルタイムダッシュボードを提供しており、指定した指標・ディメンションの直近数分間のデータを更新表示できますexperienceleague.adobe.com。GA4のリアルタイム画面に相当しますが、Adobeの場合は実装によっては数分の遅延が生じることもあります。Analysis Workspaceでは基本的に30分程度の処理遅延がありますが、APIを用いてリアルタイムデータを取得し独自に可視化することも可能です。キャンペーン施策の即時効果確認などに利用されます。

周期的日付範囲（Rolling Date Range）
現在の日付を基点に過去○日・未来○日など動的に変化する日付範囲ですexperienceleague.adobe.com。例えば「直近7日間」は今日実行すれば「昨日までの7日」、翌週にはそれに合わせ更新されます。Adobeでは日付範囲コンポーネント作成時に「ローリング日付」を指定でき、毎日自動でスライドする期間として保存できます。GA4でも過去28日などはありますが、Adobeは特定の曜日単位や月単位のローリングなど自由度が高いです。定例レポートを作成する際にこの動的期間を使うと、常に最新データに更新されるので便利です。

複数セグメント適用（Segment Stacking）
Analysis Workspaceで複数のセグメントを同時にフィルタリングすることを指します。Adobeでは1つのパネルやテーブルに複数のセグメントをドラッグすることでAND条件で重ね掛けできます。GA4でも比較セグメントを絞り込みに同時適用できますが、Adobeの方が直感的に組み合わせやすいです。例えば「モバイル AND 新規訪問者 AND 購入者」という細かな絞り込みもセグメントを3つ積むだけで可能です。セグメントビルダーで一つにまとめずとも簡易的に組み合わせでき、分析の試行錯誤がしやすくなっています。

プロジェクトキュレーション（Project Curation）
Workspaceプロジェクト共有時に、閲覧ユーザーに見せるコンポーネントやレイアウトを限定する機能です。キュレーションを有効にすると、レポートに不要なディメンションやセグメントを隠したり、誤操作されないよう項目をロックした状態で共有できます。GAには存在しないAdobe独自の機能で、経営層向けダッシュボードなど閲覧専用レポートを提供する際に有用です。キュレーション設定はプロジェクト単位で行え、受け手にとって必要最低限の情報だけを見せることでレポートの分かりやすさを高めます。

Reports & Analytics（従来レポート）
Analysis Workspace登場前の旧UIで提供されていたレポート画面です。かつてAdobe Analyticsのメインインターフェイスでしたが、現在この旧レポート機能は提供終了となりWorkspaceへ完全統合されましたexperienceleague.adobe.com。GAのユニバーサルアナリティクスにおける従来レポートと探索の関係に近く、現在はWorkspaceでほぼ全ての分析を行います。過去のドキュメントや設定画面上で「Reports & Analytics」「従来のレポート」という表現を見かけた場合、Workspaceではない旧システムを指していることに留意してください。

Adobe Analytics Dashboards（モバイルアプリ）
Adobeが提供するモバイル端末向けの公式アプリで、主要指標をスコアカード形式で閲覧できるダッシュボードですexperienceleague.adobe.com。GAのモバイルアプリに相当し、外出先でもKPIをチェック可能です。あらかじめWorkspace上でスコアカード用のプロジェクトを用意し、それをアプリで読み込むことで簡潔なダッシュボードが表示されます。指標や簡易グラフをタイル状に配置し、タップすると詳細なトレンドも確認できますexperienceleague.adobe.com。経営層への報告用や日々の指標監視に活用されています。

その他の重要用語

Admin Console（管理コンソール）
Adobe製品のユーザー管理やプロビジョニングを行う管理者向けWebツールです。Adobe Analytics単体というよりAdobe Experience Cloud全体の管理画面であり、ユーザーにAnalytics製品へのアクセス権を付与したり、製品プロファイル（権限グループ）を設定しますexperienceleague.adobe.com。GAのユーザー管理はプロパティごとに行いますが、AdobeではAdmin Console上で組織全体のユーザー・権限を一元管理します。Analytics導入時には管理者がこのコンソールでユーザーを招待し、レポートスイートへのアクセス権などを割り当てます。

Experience Cloud（エクスペリエンスクラウド）
Adobe社が提供するマーケティング/分析/広告ソリューション群の総称です。Adobe AnalyticsはExperience Cloudを構成する1製品であり、他にAdobe Target（テスト＆パーソナライズ）、Adobe Campaign（メール施策）、Adobe Audience Manager（DMP）などが含まれます。Experience Cloud内では各ソリューション間でデータ連携や共通のID管理が可能です。GA4がFirebaseやGoogle広告と統合されているのに対し、AdobeではExperience Cloud内でAnalyticsデータを活用した一貫したマーケティング施策が実現できます。

オーディエンス（Audience）
Adobe AnalyticsのセグメントをExperience Cloud経由で他のAdobe製品へ共有したもの、または共有されたセグメント自体を指します。GA4におけるオーディエンス（広告やOptimizeで活用するリマーケティングリスト）に相当します。Analyticsで作成したセグメントは「Experience Cloudオーディエンス」としてプッシュすることで、Adobe Targetや広告DSPで活用可能です。例えば「過去30日間に商品Xを閲覧したが未購入のユーザー」というセグメントをAudience ManagerやTargetに連携し、パーソナライズ配信に利用できます。

顧客属性（Customer Attributes）
オフラインで保有する会員情報などの属性データをアップロードし、分析に活用できるExperience Cloudの機能ですexperienceleague.adobe.com。例えば会員ランクや契約プラン等をAdobe Analyticsに取り込み、ページ閲覧データと組み合わせて分析できます。GA4にもユーザープロパティのカスタムインポート機能がありますが、AdobeではCustomer AttributesとしてCSVアップロードした属性をAnalyticsのディメンションに結合できます。これにより、ウェブ行動とCRMデータを統合したより深い顧客分析が可能となります。

処理ルール（Processing Rule）
コーディングなしで収集データを振り分け・加工するための設定です。Adobe Analyticsの管理画面で、受信したデータ（コンテキストデータ変数など）をどのレポート変数にマップするか、値を変換するか等のルールを定義できますexperienceleague.adobe.com。例えばURLに含まれるクエリパラメータを取り出してキャンペーン変数にセットするといった操作がGUIで可能です。GA4では似た機能は限定的ですが、Adobeでは実装後でも柔軟にデータ項目のマッピング変更や新規計測を行えるメリットがあります。誤実装時のリカバリーや一時的な計測追加に役立ちます。

サーバーコール（Server Call）
Adobeのデータ収集サーバーへの1回のヒット送信を指す用語ですexperienceleague.adobe.com。ページビューやイベントなど1ヒット＝1サーバーコールとなり、Adobe Analyticsの利用料金はサーバーコール数に基づく場合があります。GA（無料版）はヒット数無制限ですが、Adobeでは契約プランにより月間サーバーコール上限が設定されることが多く、不要なヒットを送信しない実装設計が重要です。なお、同一ヒットを複数のレポートスイートに送信するマルチスイートタグでは、最初の送信はプライマリ、以降はセカンダリサーバーコールと呼ばれますexperienceleague.adobe.com。

ソリューションデザインドキュメント（Solution Design Document）
Adobe Analytics導入時に作成されることが推奨される設計書で、計測設計の全容をまとめた内部ドキュメントですexperienceleague.adobe.com。通称SDR（Solution Design Reference）とも呼ばれ、各ページや各イベントでどの変数（eVar/prop）に何の値を送るか、変数の目的や有効期限・アロケーション設定など詳細に記載します。GA実装ではここまで詳細なドキュメントを作らない場合も多いですが、Adobeでは柔軟性が高い分設計ミスを防ぐためSDR整備が重要です。SDRを参照することで、実装者と分析者の間で変数の意味を共有しやすくなります。

データレイヤー（Data Layer）
Webサイト上に配置されたJavaScriptオブジェクトで、ページやユーザーの属性情報を構造化して保持する仕組みですexperienceleague.adobe.com。GA実装でよく用いられるデータレイヤーと同様、Adobe AnalyticsにおいてもDLを用意しておくことで、タグ管理からその値を各変数に割り当てることが容易になります。例えばdigitalData.page.categoryにページカテゴリを格納し、Adobe Launchでそれをpropにマッピングする、といった流れです。データレイヤーの活用により実装保守性が向上し、サイト改修時も解析変数への値渡しを一元管理できます。

Experience Cloud ID（訪問者ID）
Adobe Experience Cloudが発行する共通のユニーク訪問者識別子です。略称ECID（旧称Marketing Cloud ID）とも呼ばれ、AnalyticsやTargetなど複数Adobeソリューション間でユーザーを突合するために使用されます。GA4では自動収集のクライアントIDやオプションのユーザーIDがありますが、Adobeでは基本トラッキングコードがECIDをCookieに保存し、これをもとにユニーク訪問者を測定しますa2guide.jp。異なるドメイン間でも同一ECIDを発行すればクロスドメイントラッキングが可能で、Visitor IDサービスとして各種機能の基盤となっています。

製品変数（Products）
Eコマースの計測で使用される特殊な変数で、商品IDやカテゴリ、価格、数量等を一括で送信します。Adobe Analyticsではproductsという専用フォーマットの文字列に商品情報をカンマ区切りで詰めてトラッキングし、レポートでは「製品レポート」として各商品ごとの売上・注文数・閲覧数などが見られます。GA4のEコマース項目送信に相当しますが、Adobeは製品ごとの指標計測が標準で強力です。例えば1回の注文で複数商品が買われた場合も製品ごとに売上や数量が記録され、商品別分析やマーチャンダイジング分析に活用できます。

AppMeasurement（AppMeasurement.js）
Adobe Analyticsのデータ収集に用いられるJavaScriptライブラリですexperienceleague.adobe.com。旧称Hコード（s_code.js）で、GAのgtag.jsやanalytics.jsに相当します。サイトに埋め込んでページビューやイベント発行の役割を果たし、s.t()関数でページビュー送信、s.tl()関数でリンククリックやカスタムイベント送信を行いますexperienceleague.adobe.comexperienceleague.adobe.com。現在はAdobe Launch（後述）で管理されることが多いですが、このライブラリがAdobe Analytics実装の中核です。モバイルアプリの場合は各種モバイルSDK（これもAppMeasurement）を用いてデータを収集します。

Adobe Launch（タグ管理ツール）
Adobeが提供するタグマネジメントシステム（TMS）で、Analyticsや他のマーケティングタグを一元管理できます。旧称はDynamic Tag Management(DTM)およびLaunchで、現在はExperience Platform上の「データコレクションTags」と呼ばれますexperienceleague.adobe.com。GAのGTMに相当し、サイト上に埋め込む1つの埋め込みコードで複数のタグ配信を制御できます。Adobe Analyticsの実装もLaunch上で行うのが一般的で、GUIでトリガーとアクションを設定することでページビューやイベントの送信、コンバージョン計測を柔軟に構築可能です。

ヒット（Hit）
Adobeデータ収集サーバーに送信される1回のイメージリクエストを指しますexperienceleague.adobe.com。ページビューやクリック計測など、Analyticsにデータが送られるあらゆる単位はヒットと総称されます。GAのイベントに近い概念ですが、Adobeではページビューもリンククリックも全てヒットです。ヒットはサーバーコール1回に相当し、訪問は一連のヒットの集合体とみなせます。セグメント定義で「ヒットコンテナ」を使うと、特定の1ヒットレベルでの条件（例：ページ名=“X”のヒット）を抽出できます。なお、Adobe契約上もヒット（サーバーコール）の累計が重要な指標となります。

カスタムリンク（Custom Link）
ページビュー以外のデータを含むヒットのことですexperienceleague.adobe.com。例えばファイルダウンロードやアウトバウンドリンク、Ajaxコンテンツ閲覧などページ再読み込みを伴わないユーザー行動を計測する際、s.tl()という関数でカスタムリンクヒットを送信しますexperienceleague.adobe.com。GA4ではそれらもイベントとして統一的に扱いますが、Adobeではページビュー（s.tによるヒット）と区別して計測されます。レポートではページビュー指標に影響せず、イベント系指標のみ増える仕組みです。サイト内の各種クリック数や動画再生回数など、ページ単位を超えたユーザー行動をトラッキングするのに用いられます。

モバイルSDK（Mobile SDK）
モバイルアプリからAdobe Analyticsへデータ送信するためのライブラリです。iOSやAndroid向けに提供されており、アプリ内で発生したイベント（画面表示、タップ、課金など）をAnalyticsに送信します。GA4のFirebase SDKに相当します。AdobeのMobile SDKはExperience Cloud SDK（以前はMobile Services SDK）と呼ばれ、設定次第でオフライン時のバッファリングやライフサイクル指標（起動回数・クラッシュ数など）も自動追跡できます。アプリ分析では、このSDKを組み込むことでウェブと同じ指標をAdobe Analyticsに統合できます。

サンプリング（Sampling）
大量データに対して一部を抽出して集計する手法です。Googleアナリティクスでは無料版で高トラフィック時にサンプリングが発生しますが、Adobe Analyticsは基本的にサンプリングなしで全ヒットデータを集計します。Analysis Workspace上のレポートも全量集計のため精度が高く、ビッグデータ分析でも信頼できる数字を得られます（※ただし一部ワークスペースの高速モードやData Warehouseでサンプル的計算が入るケースもあります）。GA4ではサンプリングはほぼ起きませんが、Adobeでもサンプリング不要な分析環境を提供している点が強みです。

データフィード（Data Feed）
ヒット単位の生データをエクスポートする機能ですexperienceleague.adobe.com。Analyticsの全ヒットを行ごと、変数を列として含むCSVファイルを日次または時間単位でFTP送信します。GA4のBigQueryエクスポートに相当し、自社のデータベースに取り込んでクエリ分析や機械学習に活用可能ですexperienceleague.adobe.com。データフィードは非常に詳細なログデータが取得できますが、サイズが膨大になるため取り扱いには注意が必要です。エンジニアリングリソースがあれば、このFeedデータを用いて独自BIを構築し、AdobeのUIではできない自由な分析が実現できます。

Analytics for Target（A4T）
Adobe Targetで実施したA/Bテストやパーソナライズ施策の結果を、Adobe Analyticsの指標で直接評価するための統合機能です。TargetとAnalyticsを連携設定すると、Targetの各エクスペリエンス（テストパターン）をAnalyticsのディメンションとして取得し、コンバージョンや売上の差異を有意差検定付きで判別できます。GAにもGoogle Optimizeとの連携がありましたが、A4Tはよりシームレスで、テスト結果をWorkspace上で深掘り分析したり、他のセグメント切り口で効果を比較することが可能です。Adobeならではのクロスソリューション活用例と言えます。

分類ルールビルダー（Classification Rule Builder）
アップロードせずにパターンマッチで自動分類を行うツールです。例えばキャンペーンIDの命名規則に基づき「media=○○」を含む場合はチャネル=Paid Search、といったルールを作成し、一括で過去データに分類を適用できます。手動の分類（SAINTアップロード）と比べ、ルールビルダーは新規値にも逐次対応できるメリットがあります。GA4のルールベース分類に近いですが、AdobeではUI上で複雑な正規表現マッチや置換が可能です。大量のIDを持つディメンション（例：商品ID）でも自動分類でき、運用負荷を下げつつ分類の網羅性を保てます。

ログイン会社（Login Company）
Adobe Analyticsアカウントに紐づく組織単位です。1つのログイン会社に複数のレポートスイートが属し、ユーザーは所属するログイン会社内のデータにアクセスしますexperienceleague.adobe.com。大企業では部署ごとに別ログイン会社を発行し、完全にデータを分離することもあります。GAのアカウントに近い概念ですが、Adobeの場合1企業につき通常1ログイン会社が割り当てられます。ユーザー管理や契約もログイン会社単位で行われ、異なるログイン会社へのデータ統合はできません。設定や用語集などを見る際は、自社のログイン会社名を意識する必要があります。

グローバルレポートスイート（Global Report Suite）
複数サイトのヒットを1か所に集約した統合レポートスイートを指す非公式な用語ですexperienceleague.adobe.com。企業が複数のWebプロパティを運営している場合、各サイト個別のレポートスイートとは別に、全サイト共通のグローバルレポートスイートを設計することがあります。これにより全体横断のユーザー分析や比較が容易になります。実装上は各ヒットを複数のスイートに送信する「複数スイートタグ付け」によって実現しますexperienceleague.adobe.com。GAではクロスドメインで同一プロパティに送る方法が類似します。グローバルスイートを用いることで、組織全体の集計レポートやサイト間回遊分析が可能になります。

カレンダーイベント（Calendar Events）
レポート上の日時軸に表示できる注釈メモ機能です。Adobe Analyticsでは特定の日付にメモ（イベント）を登録し、Workspaceのトレンドグラフ上にアイコンとして表示できます。GAのアノテーション（注釈）と同様、キャンペーン開始日やサイト障害などデータに影響を与えた出来事を記録しておく目的で使われます。Adobeでは組織全体で共有できる公開イベントや、自分だけが見えるプライベートイベントを登録可能です。時系列分析の際に、「この急増はイベントXの影響」とグラフ上で把握でき、分析時の文脈理解に役立ちます。

正規化（Normalization）
複数の指標系列を同一スケールに揃えて可視化するオプションですexperienceleague.adobe.com。Analysis Workspaceの時系列グラフで「正規化」を有効にすると、選択した各指標がそれぞれ0～100%の範囲にスケーリングされ、トレンド形状の比較が容易になりますexperienceleague.adobe.com。例えばPV数と注文数のように桁が大きく異なる指標でも、正規化すれば双方の増減パターンを視覚的に比較できます。GA4には標準機能はありませんが、Adobeではワンクリックで適用可能です。異なる単位の指標間で相関を見たい場合などに有用な可視化テクニックです。

マーチャンダイジングeVar（Merchandising eVar）
製品レベルでコンバージョンを紐付ける特殊なeVar設定です。通常のeVarは訪問単位等で保持されますが、マーチャンダイジングeVarでは製品ごとに成功イベントのクレジットを割り当てられますexperienceleague.adobe.com。例えばサイト内検索キーワードをマーチャンダイジングeVarとして設定すると、その検索経由で購入された各製品に対しキーワード別に売上を関連付けることができますexperienceleague.adobe.com。GAには直接的な対応機能はなく、Adobe独自の高度な実装テクニックです。製品ディメンションと掛け合わせた詳細な貢献分析（検索別商品売上など）を可能にします。

参考：

• experienceleague.adobe.comexperienceleague.adobe.comAdobe Analytics 用語集（Adobe公式）
• a2guide.jpa2guide.jpGA4経験者のためのAdobe Analytics比較ガイド（A2Guide）
• a2guide.jpパーティシペーション指標の解説（Adobe公式ブログ）
• experienceleague.adobe.comexperienceleague.adobe.comレポートスイート関連（Adobe公式）
• experienceleague.adobe.comexperienceleague.adobe.comバウンスと単一アクセスの定義（Adobe公式）

情報源