目的概要:月次レポートの冒頭に含めることが多い、サイト主要KPIのサマリー表を作成します。訪問数・訪問者数・PV数・コンバージョン数など重要指標の当月値と前月比/前年同月比を一覧できる表を作り、サイト全体の健康状態を一目で把握できるようにします。例えば「今月の訪問数は先月より何%増減したか」「主要コンバージョンは昨年同月より改善したか」などが即座に判断できます。
事前確認事項:
- トラッキング指標の確認:レポートスイートで、Visits(訪問数)、Unique Visitors(ユニーク訪問者数)、Page Views(ページビュー数)等の基本指標や、サイト固有のコンバージョン指標(注文数、フォーム送信完了数など)が実装されているか確認します。名前がわからない場合、左パネルのメトリクス検索でキーワード(例:「注文」「form」など)を試します。
- 期間設定:原則レポート期間は前月1ヶ月分です。前月比・前年比を見るため、比較対象期間として前月および前年同月のデータも存在することを確認します。
- Workspaceパネル準備:新規プロジェクト or 既存プロジェクトに空のパネルを用意します(「+パネルを追加」から「空のフリーフォーム」を選択)。
操作手順:
- フリーフォームテーブルを追加:ワークスペースの左上「+」メニューからFreeform Table(フリーフォームテーブル)をパネルに追加します。初期状態では行(Rows)も列(Columns)も空のテーブルが表示されます。
- ポイント: 行は空のまま(ディメンションを設定しない)で使用します。こうすることで全サイト集計のサマリー表として機能します。行に何も指定しないと、自動的に「全訪問の集計行(Totals行)」が表示されます。
- 主要KPI指標を列に追加:左側のMetrics(指標)タブから、主要なKPI指標を次々とテーブルの列エリアにドラッグ&ドロップします。
- 例: 「Visits(訪問数)」「Unique Visitors(ユニーク訪問者数)」「Page Views(ページビュー数)」をまず追加し、さらにサイトの主要成果指標(例:「Orders(注文数)」や「Form Submissions(フォーム送信数)」など)も追加します。
追加後、テーブルには各指標の当月合計値が表示されます(行が空なので、サイト全体の総数として表示)。各列ヘッダには指標名が表示されます。 - つまずきポイント: 指標が見つからない場合、実装されていない可能性もあります。その場合はお客様に「○○という指標は計測されていますか?」と確認します(例えば注文完了イベントが無いなど)。また、日本語UIで指標名が翻訳されている場合もあるので注意してください(例:「訪問数」は「Visits」)。
- 例: 「Visits(訪問数)」「Unique Visitors(ユニーク訪問者数)」「Page Views(ページビュー数)」をまず追加し、さらにサイトの主要成果指標(例:「Orders(注文数)」や「Form Submissions(フォーム送信数)」など)も追加します。
- 前月・前年データの列を追加:各指標列の列ヘッダを右クリックし、メニューから「Add Time Period Column(期間列を追加)」機能を使います。
- 前月列の追加: 前月を選択すると、選択した指標について前月の値および増減%が新たな列として追加されます。例えば、現在のVisits列に対して前月(例:2025年7月)の列を追加すると、「7月の訪問数」と「8月との差分%」が表示されます。
- 前年同月列の追加: 同様に前年同月を追加すれば、「前年同月の値」と「今年との差分%」も表示されます。
これにより当月・前月・前年同月の値と増減率が一つのテーブルに揃います。どのメトリクス列も同様の手順で期間比較列を追加できます。もし比較対象期間が選択肢に無い場合は、レポートの日付範囲を広げて該当期間を含める必要があります。 - つまずきポイント: 前月・前年データを取得するには該当期間にデータがあることが前提です。直近でサイトリニューアルやトラッキング変更をしていると前年同月比較は難しい場合もあります。その場合「前年同月はデータ無し」となることもあるので、お客様にも「前年○月のデータは取れていますか?」と事前確認すると良いでしょう。
- 増減の強調表示:前月比・前年比の%変化列には**条件付き書式(Conditional Formatting)**が自動適用され、増減に応じて矢印アイコンや色が付きます。特に操作不要ですが、緑の上矢印(増加)・赤の下矢印(減少)が付いて視覚的にわかりやすくなります。必要に応じて列ヘッダの鉛筆マークから列名を「前月比増減%」「前年同月比増減%」などに編集しておくとレポートとして分かりやすくなります。
- 補足: 増減%に著しい変化がある場合、Adobe Analyticsの異常値検出アラート(Anomaly Detection)が自動でマーカー表示することもあります。例えば「+50%以上の急増」などは特別なアイコン表示で示されます(これについてクライアントから質問が出た場合は「統計的に異常な変動を検知する機能です」と補足説明すると良いでしょう)。
- 完成したサマリーの確認:以上でKPIサマリーテーブルが完成です。行には全サイト合計の1行のみ、列に「当月値」「前月値」「前年値」「前月比%」「前年比%」が並びます。これにより「訪問数は前月比+5%増加」「コンバージョン数は前年同月比▲2%減少(マイナス2ポイント)」といった傾向を読み取ることができます。クライアントには、各指標の増減をざっと俯瞰し、特に大きな減少がある項目について今後深掘りしていく旨を伝えます。
補足・つまずきやすいポイント:
- 指標選択の迷い:初心者は「どの指標をサマリーに含めるべきか」迷うことがあります。お客様の業種やサイト目的によって異なりますが、基本は訪問数・訪問者数・PVに加え、主要なコンバージョンKPI(売上、注文数、問い合わせ件数など)を選びます。事前にお客様に「重要視している成果指標」を確認し、その指標を必ず含めましょう。
- 指標の日本語名称:UIが日本語の場合、指標名も日本語化されていることがあります(例:「Visits」は「訪問数」)。英語マニュアル等を参照しながら操作する際は、ラベルの違いで戸惑いやすいので注意です。
- 期間列の追加:期間列追加後、元の指標列に対して複数の比較期間を入れられる点を強調してください。例えばVisitsに前月と前年を追加すれば3列セットになります。比較列の追加は各列ごとに右クリック→追加操作が必要なのです。
- 計算結果の解釈:増減%は基準期間に対する増減です。例えば+5%は「前期間より5%増えた」ことですが、初心者は「5ポイント増か5%増か」混乱しやすいので、「前月1,000→今月1,050で+5%増です」というように具体的に説明すると理解しやすいです。
- 異常値の背景:前月比・前年比が大きく変動している場合、その理由を聞かれるかもしれません。例えば「コンバージョンが前年より半減していますが何故ですか?」と問われたら、「昨年はキャンペーンを実施していたのでは?」「トラフィック源に変化が?」など仮説を共有し、後続の分析(チャネル分析やコンバージョンファネル分析)で確認する流れに繋げます。
お客様への確認質問例:
- 「このサイトで一番重要なKPIは何ですか?(例:購入数、資料請求数など)それもこの表に含めましょう。」
- 「前年同月のデータは取得できていますか? 昨年○月にサイトリニューアルなど無かったでしょうか?」
- 「コンバージョン関連のイベント(例えば購入完了やフォーム送信)はAdobe Analyticsで計測済みでしょうか?」
- 「指標名は英語で表示されていますか?日本語でしょうか?(画面を見て、日本語UIなら適宜読み替えます)」
講師による画面共有トーク例:
講師:「ではまず全体概要として、主要KPIのサマリー表を作ります。左上の『+』ボタンをクリックして、フリーフォームテーブルを追加してください。はい、何もない表が出ましたね。」
講師:「次に左側の指標リストから、サイトの主要な数値を列に入れます。まず『訪問数 (Visits)』を掴んで、表の『Drop a column here』と書かれた所にドラッグしてください。次に『ユニーク訪問者数 (Unique Visitors)』も同様に…そうです、列が追加されましたね。」
講師:「同じように『ページビュー数 (Page Views)』、それから主要なコンバージョン指標・・・例えば注文数やフォーム送信数などありますか?画面左で指標名を検索してみてください。…あ、Ordersという指標がありますね。それを列に追加しましょう。」
(クライアントが指標を追加していく)
講師:「では、追加した各指標について前月と前年の列を追加します。列ヘッダ『Visits』を右クリックするとメニューが出ますので、『期間列を追加』または英語で『Add Time Period Column』を選んでください。【前月】を選ぶと…はい、Visitsの右に前月のVisits列が出て%も計算されましたね。続けてもう一度『期間列を追加』→【前年同月】も追加しましょう。」
講師:「他の指標列(Unique Visitors等)にも同様に前月・前年を追加してください。…全部できましたか?今、訪問数やコンバージョン数の当月と前月と前年が並んで表示されていますね。」
講師:「数字の横に緑や赤の矢印が付いているのが分かりますか?これは前月比や前年比の増減を示すマークです。緑は増加、赤は減少ですね。【もし矢印が見当たらない場合、条件付き書式が無効になっている可能性があります。後で確認しましょう】。」
講師:「これでサイトのKPIを一目で比較できる表ができました。訪問数は前月より増えていますね。コンバージョン(注文数)は…前年同月より少し下がっていますか。こういったポイントは後ほど詳しく原因を探っていきましょう。」

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